認知症になる前に!不動産の生前対策として家族信託を選ぶべき理由。

家族信託

略歴
大学卒業後、オーストラリア・フィリピンへ留学。その後、世界5大陸30ヵ国100都市以上へのバックパッカー旅へ出発。帰国後、千葉県に「行政書士三浦国際事務所」を設立。行政書士・総合旅行業務取扱管理者。行政書士登録番号 第18100898号

主な取扱分野
外国人案件(主にフィリピン)、旅行業案件、留学業案件、領事館・大使館案件、飲食業案件、契約書等書類全般作成

 

家族信託とは、特定の目的のために、保有財産や不動産、預貯金等を家族に託すことです。

信頼できる家族に財産の管理を託すことで、その管理や処分の所在を明らかにし、財産管理をスムーズに行うための制度です。

最近では、高齢化社会が社会的な問題として挙げられ、認知症などの問題も多く発生していることから、近年急速に注目を受けている生前対策の一つの制度とも言えます。

本項では、家族信託について、簡単なご説明から、近年利用が増えている理由、メリット、デメリットなどを解説していきます。

1.家族信託とは

まずは、「家族信託とは」について簡単にご説明します。

家族信託は所有権の、

  1. お金を管理する権利
  2. お金をもらう権利

の2つの内、お金を管理する権利のみを家族に託す制度です。

例えば、不動産の家賃収入がある状態で、家族信託を利用した場合、不動産の「管理」は家族に任せ、「収入」は変わらず本人が受け取ることができます。

家族に管理を託すことによって、本人(所有者)・家族(管理者)ともに、判断能力の欠如(=認知症など)によるトラブルに発展しづらくするなるという利点があります。

また、所有者からすると受託した管理者(家族や親族)へ高い報酬を支払う必要が無いので、金銭的なメリットになり、管理者からすると、正確に管理を行うことができるようになると言うメリットがあります。

2.家族信託が利用される理由

冒頭でも述べた通り、近年生前対策の1つとして家族信託を利用する方が増えてきています。

本人に「お金をもらう権利」を残したまま、「お金管理する権利」を家族に委託すると言うのは、両者にとってメリットがあると説明しましたが、他にどのような利点があって、利用者が増えているのでしょうか。

1.生前贈与と比べ、ハードルが低い

これまでは、不動産の管理を任せる場合には、生前贈与という方法が主流であり、それはつまり所有権を全て移すことを意味していました。

しかし、本人としては「お金をもらう権利」さえも全てを渡すことになり、いくら家族とは言えど生前贈与を実施するには様々な面でハードルが高いと言う部分がありました。

また、生前贈与によって所有権を移すということは、多額の贈与税も発生します。加えて、不動産取得税や登録免許税など各種税金も発生することとなり、税金申告書の作成を税理士に依頼すれば、さらにコストが発生し、生前贈与は費用面での負担が大きい制度となっています。

一方、家族信託では「管理する権利」を託すだけなので、もちろん贈与税や不動産取得税はかかりません。登録免許税は発生しますが、生前贈与に比べ、負担は5分の1程度になります。

このように家族信託は、本人の「お金をもらう権利」が守られると言うことだけでなく、費用面の負担も少ないことから利用者が増加していると言えます。

2.遺言書の代わりとなる

また、家族信託は、遺言書の代わりとしても利用されています。具体的には、管理者を長男に、本人の死後のお金をもらう権利は、配偶者に、という形で家族信託を行うことが可能です。

本人が死亡した場合には、管理は長男が行い、お金をもらう権利は配偶者に帰属するため、遺言書に近い形で本人の意向を反映することができるということです。

本人に判断能力がある段階で、明確に意向を示しておくことで、死後の紛争やトラブルを未然に防ぐことができるだけでなく、家族や親族も安心して過ごすことができるメリットがあります。

3.認知症対策として利用できる

家族信託は、被相続人が認知症になった場合の対策としても利便性の高い制度です。

例えば、不動産の所有者が認知症になってしまったとします。その場合、正確な判断能力はないこととなりますが、所有者の家族は不動産を代わりに売却することは原則できません。認知症であっても、所有権者は所有権を有しており、所有者の了承を得ずに勝手に売却することはできないのです。

この場合、後見制度も同様です。原則として、所有権者の了承を得ずに売却することはできません。後見人は、財産を運用や管理することが役目とされ、売却等の組み替えは原則的にできません。家庭裁判所より、売却することの理由が認められれば、売却はできますが、家庭裁判所の判断によるところが大きいため、利便性が高いとは言えない部分があります。

しかし、家族信託の場合は、例えば家族の誰かを受託者として信託を結んでいた場合、受託者によって不動産を処分(=売却)することが可能です。

3.家族信託のメリット・デメリット

家族信託の利用者が増えている理由は前章でお話ししてきました。

次に、メリットと一部のデメリットについてご説明します。

メリット① 後見制度と比べて、負担が少ない

家族信託の他に、後見制度があります。後見制度とは、意思能力に衰えが認められる場合、その者を法的に支援するものです。つまり、家族信託と近しい制度とも言えるかもしれません。

しかし、後見制度は、後見人(支援する者)の負担と制約が家族信託と比べて多くなります。後見制度は、毎年、状況を家庭裁判所に報告しなくてはならないという、報告義務があるためです。

家族信託を利用するメリットのひとつに、支援する人の負担の少なさがあります。

メリット② 不動産に関しての紛争予防

家族信託は、家族に財産を託す制度です。

後見制度には、任意後見法定後見の2つの制度がありますが、家族・親族以外の人物が後見人になることも少なくありません。

仮に、不動産がある場合、部外者を後見人にしていた場合、紛争に発展する可能性があります。

家族信託だから必ず問題が起きないというわけではないですが、家族や親族に託すことになるため、紛争のリスクを避ける働きもあります。

メリット③ 柔軟な対応が可能

家族信託を行ったからと言って、必ずしも受託者が管理を行わなければならないと言う訳ではありません。

本人が元気であれば、家族信託を利用していたとしても、本人の判断で財産管理を行うことができます。

その後、正確な判断ができない状態に陥った場合には、本人の意向に沿って、託された家族や親族が財産管理を行うことができます。

いつ判断能力がなくなるかわかりませんし、周囲の人物が判断能力の有無を判断しきれない場合もあります。

本人、家族・親族が共に、財産管理を行えるようにしておくことで、スムーズな管理を実現できます。

メリット④ 法定相続の規定にとらわれない

家族信託は、2次相続以降の資産承継者の指定が可能になります。

2次相続とは、両親が亡くなった時の相続のことです。例えば、父が亡くなった(1次相続)後、母が亡くなったとします。この母が亡くなった際の相続を2次相続と言います。

法定相続では、遺言での2次相続以降の資産承継先の指定はできません。

しかし家族信託は、法定相続の規定にとらわれず、2次相続以降の資産承継者の指定が可能となります。

例えば、被相続人Aさんが不動産の、受益者にBさんを指定していたとします。この場合、Aさんが亡くなった場合、権利はBさんに相続されます。しかし、Bさんが亡くなった後は、Bさんの相続人であるCさんが相続しますが、これをAさんは望んでいませんでした。

この場合、Aさんは予め、Bさん不動産の受益者としたうえで、Bさんが亡くなった後はCさんではなく、Dさんを受益者とするように指定することが可能です。(連続信託と呼ぶ)このように、遺言では指定できないところまで、指定できるのも家族信託のメリットです。

デメリットについて

家族信託は、後見制度の良いところをとった制度とも言えますので、メリットに比べてデメリットは多くありません。しかし、デメリットというよりも、気をつけるべき点があることも確かです。

まず、税務的なメリットは、特段生じないという点です。遺産分割をスムーズにしたり、被相続人の想いを尊重したりする分には利便性の高い制度ですが、相続税対策として「家族信託」を利用するというメリットはあまりないかと思われます。

また、専門家不足ということも挙げられます。家族信託は、平成19年からスタートした制度です。

そのため、明確なデータがあるわけではありませんが、「家族信託」に精通した専門家を探すことが、地域等によっては困難なことが考えられます。

良い専門家を探し出すことに時間がかかってしまう可能性があります。

まとめ

上記のように家族信託は、その利便性がの高さと費用面を考慮し、利用する方が増加しています。

特に不動産を所有する方で、信頼できる家族がいる方などは、是非生前対策としての家族信託をおすすめ致します。

略歴
大学卒業後、オーストラリア・フィリピンへ留学。その後、世界5大陸30ヵ国100都市以上へのバックパッカー旅へ出発。帰国後、千葉県に「行政書士三浦国際事務所」を設立。行政書士・総合旅行業務取扱管理者。行政書士登録番号 第18100898号

主な取扱分野
外国人案件(主にフィリピン)、旅行業案件、留学業案件、領事館・大使館案件、飲食業案件、契約書等書類全般作成