相続発生後、銀行口座が凍結?解除に必要な書類や手続きなどを紹介

手続き

略歴
立命館大学卒業2011年、税理士登録。税理士登録番号は118275。2012年 東京都港区益本公認会計士事務所(現税理士法人総和)にて資産税対策専任。2015年 千葉県税理士会登録。千葉県税理士会松戸支部広報部員。

主な取扱分野
相続税対策 / 資産税対策 / 税務申告業務 / 法人保険 / 会社設立 / キャッシュフロー対策 / 事業承継 / 宅建主任者

 

人が亡くなると、その人の銀行口座が凍結されてしまうというのを聞いたことがある方も多いかもしれません。今回は、相続で発生してしまった、銀行口座の凍結について、凍結されるタイミングや、解除に必要な書類について解説します。

1.人が死ぬと口座は凍結される

被相続人が死亡したことが銀行に伝わると、その人の名義の銀行口座は凍結されます。そして、以後、凍結解除の手続きが終了するまでは現金を下ろすことはもちろん、引き落としや振込なども一切できなくなります。

死亡届を提出した瞬間に銀行口座が凍結すると思っている方もいますが、これは間違いです。誰かが亡くなったということは個人情報なので、死亡届を受理した役所が銀行等に知らせることはありません。

1.どのタイミングで凍結されるのか?

実際に銀行口座が凍結されるのは、相続人の誰かが銀行に申請をした後ということになります。

自分は何もしていないのに凍結されたという場合、他の相続人が銀行へ問い合わせをしたというケースが考えられます。

これを知ると、銀行口座が凍結してしまうからと「死亡届の提出を先延ばしにしよう!」と考える方もいるようですが、火葬や埋葬を行うためには死亡届の提出が必須となりますから、あまり現実的ではありません。

もし仮に、葬儀費用などを亡くなった人の口座から支払いたいと言うのであれば、亡くなった後すぐに引き出す必要がありますが、直ぐにキャッシュカードが見つからなかったり、暗証番号が分からなかったり、ということもあります。

どうしてもと言う場合は、生前から準備をする必要がありますし、そうで無い場合は、すぐに必要となる費用ついてあらかじめ自分たちで支払えるように準備しておくもの、と考えましょう。

2.なぜ凍結されるのか?

なぜ被相続人の死亡後に銀行口座が凍結されるのでしょうか?

銀行口座に残っている預貯金は相続財産であり、相続税の課税対象となります。被相続人が亡くなった後、自由に引き出せてしまうと、相続財産の線引きが不透明になってしまいます。また、考えたくはありませんが、相続人の誰かが、お金を引き出して持ち逃げしてしまう危険性も出てきます。

こうした事態を防ぐために、相続内容(=遺産分割協議の内容)が決定するまでは、その口座における一切の取引を停止しておく必要があるのです。そのため、たとえ通帳やキャッシュカードがあり、暗証番号がわかっていたとしても、口座の凍結以後はそこから現金を下ろすことはできなくなります。

2.凍結解除に必要な手続き書類

口座の凍結を解除するためには、被相続人と相続人の関係性を示す書類を提出したり、遺産分割協議を行い相続人全員の同意を得ている事が分かる書類を提出したり、いくつかの書類提出が必要となります。

また、それらの書類は、遺産分割(遺言書 or 遺産分割協議 or 法定相続分)の方法によって異なる上に、各銀行によっても微妙に異なることがあります。

以下では基本的な必要書類を記載しますが、銀行毎の詳細な必要書類については、各銀行のHPをご確認下さい。

1.基本的に必要になる書類

被相続人関係のもの

被相続人関係では、以下のものが必要になります。

  • 出生から死亡までの戸籍謄本
  • 死亡が確認できる書類(住民票の除票,死亡診断書など)
  • 通帳、キャッシュカードなど

戸籍謄本は、被相続人の本籍地の役所で入手できます。手数料は450円です。また、戸籍は出生から死亡までのものを全て集める必要があり、結婚や引っ越しなどで転籍を繰り返し、戸籍が複数になっている場合は、一番新しい戸籍から古い本籍地を読みとり、遡っていくことが必要になります。

死亡が確認できる書類については、住民票の除票を取得します。住民票の除票とは、引っ越しや死亡が原因で、もうその住所には存在しない人の「かつての住民票」のことです。尚、住民票の除票は、死亡届を提出してから1週間ほど時間がかかるため、それまでに死亡確認書類を提出する場合は、死亡診断書などを提出しましょう。

相続人関係のもの

相続人関係では、概ね以下の書類が必要になります。

  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書

戸籍謄本はその人の本籍地の役所で入手します。1つの戸籍謄本に、家族(相続人)全員の記載がある場合は1通で構いません。相続人の誰かが結婚などで別の戸籍に写っているときは、それを集める必要があります。

印鑑証明書は、それぞれの住民票がある役所で入手できますが、印鑑登録をしていない場合は、そもそも印鑑証明書を取得できます。相続人の中で印鑑証明をしていない人がいれば速やかに手続きを印鑑証明の進めましょう。

分割方法のよって異なるもの

  • 遺言書 or 遺産分割協議書

上記については「何をもとに遺産分割を行うか」つまり分割方法によって異なります。

当たり前と言えばそうですが、遺言書によって遺産を分割する際には、遺言書が必要です。遺言書が無い、もしくはあっても相続人間で不満などがある場合は、遺産分割協議によって遺産分割することになりますが、その際に作成する遺産分割協議書が必要になります。

※遺産分割協議についてはこちらの記事
※遺言書についてはこちらの記事

2.各銀行の必要書類について

以下、各銀行で必要になる書類に関する記載があるページのリンクを添付します。

メガバンクの場合

三菱東京UFJ銀行

三井住友銀行

みずほ銀行

りそな銀行

ゆうちょ銀行

ネットバンクの場合

ネットバンキングも、店舗を構えた銀行と同じく、被相続人(預金者)の死亡がわかった時点で口座が凍結されます。ネットバンキングの場合、窓口がカスタマーサポートになるので、まずはそこに電話をかけましょう。

必要書類は店舗型の銀行とおおむね変わりません。

ただし、細かい書類や手続きの手順などは銀行によって異なります。また、顔が見えない分セキュリティがより厳重になり、手続きの手順も煩雑になる傾向があります。

たとえば、店舗型の場合、書類に不備がなければ一度の書類提出で済むことがほとんどです。

一方、ネットバンキングの場合、まず申請した人の本人確認書類を提出し、それを銀行が確認。

その後、届いた申請書類と必要書類を送付する、といったように、何度かやりとりが必要になります。当然、その分凍結解除までの時間もかかります。

3.手続きを行う上での注意点

1.法定相続情報証明制度が使える場合は使った方がいい

2章で説明した必要書類の中で戸籍謄本がありました。これは被相続人と相続人の関係性が法的に正しいかどうか、または被相続人に他に相続人が居ないか(前妻との子供や、隠し子など)を確認するための書類として提出します。

が、説明した通り、被相続人の戸籍については出生から死亡までのものを全て集める必要があり、人によっては量が膨大になることもあります。そこに加えて、相続人の戸籍も集める必要があるので大変です。

あらゆる相続手続きでは、原則、書類の原本の提出が求められますが、原本を提出するということはその間他の手続きが進められないということを指します。

戸籍謄本は何枚でも取得可能ですが、手数料がかかりますし、一部を集めるだけでも苦労するのに、それを何部も集めるのは大変です。

提出先は銀行だけ、しかも一行のみなどの場合は良いですが、不動産の登記、保険の名義変更、銀行でも2行、3行と手続きある、という状態の場合には、戸籍の束を各所に提出する必要があり、手間と時間がかかります。

これを解決する目的で作られたのが、法定相続情報証明制度という制度です。

詳細はまた別の記事で記載しますが、簡単に説明するならば、一度、戸籍謄本と相続関係図を揃え、法務局に提出し、認証済みの書類(法定相続情報の一覧図)を受け取ることで、戸籍の束と同じ役割を果たすというものです。

つまり、これまで各銀行に戸籍の束を渡していたところを、法定相続情報の一覧図を渡すだけで済むというお話です。

法定相続情報の一覧図は、一度作成すれば、以降何枚でも無料で取得できるので、戸籍謄本において手数料がかかっていた点や、原本を複数集めるのが大変だった点を、改善してくれるのです。

全ての相続手続きで対応しているという訳ではありませんが、銀行手続きについて言えば、メガバンクなどは対応しているので、利用してみても良いでしょう。

2.期限がなくても早めにやる方がいい

口座の凍結解除そのものには期限はありませんが、手続きはできるだけ早めに行いましょう。

一応、口座の時効期間として、銀行は5年間信用金庫や労働金庫、信用協同組合などは10年間取引がないと消滅するという定めはあります。

しかし、実際にはこの期間を過ぎても払い戻しに応じてくれることがほとんどです。

ただし、期限がないとはいえ、先延ばしにしていてもプラスになることはありません。時間が経つと手続きそのものを忘れてしまうこともあるでしょう。

また、凍結解除しようと思っても、すぐにできるわけではありません。書類の入手や手続きなどに時間がかかれば、手続きの準備を始めてから実際に口座が使えるようになるまでに半年以上かかるケースもあります。

“休眠預金等活用法の施工!”

さらに、2018年1月より休眠預金等活用法が施行されました。これは、10年以上取引のない口座の預金を、チャリティーやNPOなどの民間公益活動促進のための資金に充てるというものです。「休眠預金等」とされたあとにも預金の引き出しはできますが、そのためにはまた手続きが必要になります。凍結解除の手続きに加えて、さらに別の手続きをしなければならなくなるということです。こうした余計な手間や時間をかけないためにも、早めの手続きをおすすめします。

4.生前に実施しておくべき3つのこと

上記を見ても分かる通り、銀行の凍結解除は簡単に行えるものではなく、様々な証明書類が必要になったり、窓口まで足を運んだりと大変です。

最後に生前に準備をしておくことで、いざという時の負担が軽くなるような、必要事項を記載します。

1.利用している銀行を把握しておく

まずは被相続人が利用している銀行をすべて把握しておきましょう。メインバンクは知っていても、利用の少ない口座やネットバンキングなどは見落としがちです。特にネットバンキングは、通帳も郵送物もない場合が少なくないので、被相続人が亡くなった後に確認するのは簡単ではありません。

また、相続が終わったあとに未知の口座が出てくると、遺産分割をやり直さなければいけないこともあります。こうした事態を避けるためにも、たとえ少額の口座であっても漏らさず知っておくようにしましょう。

2.通帳や印鑑の保管場所を把握しておく

預金を引き出すには、その口座の通帳やキャッシュカードが必要になります。また、登録している印鑑を求められることもあります。これらは通常わかりやすい場所に仕舞っておくものではないので、生前に保管場所を把握しておくことが大切になります。また、金庫などに保管してある場合はその金庫の暗証番号や鍵の在りかなども知っておきましょう。

3.被相続人としっかりと話す

銀行口座や通帳などの保管場所については、たとえ家族であっても簡単に教えられるものではありません。ですから、日ごろから被相続人と相続人の間で密にコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておくことが必須になります。離れて暮らしている場合は、定期的に訪問したり電話をしたりするなどして、しっかりと話す機会を設けるようにしましょう。

まとめ

  • 被相続人の銀行口座は、その人の死亡が銀行に伝わったときに凍結されます。
  • 凍結されてからは、たとえ暗証番号がわかっていたとしても、現金を下ろすことはできなくなります。
  • 凍結を解除するには、被相続人の戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書などが必要になります。
  • ただし、遺言書がある場合、必要書類が少なくなる場合があります。
  • 銀行などによって細かい手続きは異なるので、まずは窓口やカスタマーサポートに問い合わせをしてから手続きを進めていきましょう。

略歴
立命館大学卒業2011年、税理士登録。税理士登録番号は118275。2012年 東京都港区益本公認会計士事務所(現税理士法人総和)にて資産税対策専任。2015年 千葉県税理士会登録。千葉県税理士会松戸支部広報部員。

主な取扱分野
相続税対策 / 資産税対策 / 税務申告業務 / 法人保険 / 会社設立 / キャッシュフロー対策 / 事業承継 / 宅建主任者